第38章 ゼロ地点の結界より
カップめんができあがったらしく、ヨンスが
「あーコレ菊にもらったことあるやつなんだぜ!」
とふたをあけた。
そういえばそうだ。
ということは、どこかから調達してきて、ここに置いていったのだろうか。
誰が?
なんのために……?
考えれば考えるだけ、気が滅入ってくる。
けれど、無邪気にカップめんにありつくヨンスを前にしていると、
「……なに笑ってるんだぜ?」
「Nothing」
なんだか自然と、笑みがこぼれるのだった。
「先生も無理しなきゃいいけど……」
窓の外では、無表情な曇り空が、黙って香たちを見つめていた。