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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第38章 ゼロ地点の結界より


自分たちは行方不明のような扱いになっているだろう。

戻る手立ては今のところゼロだ。

数日――いや、もっと戻れないかもしれない。

ぴくりと反応をみせたヨンスが、思案顔のまま言った。

「湾もきっとびっくりしてるんだぜ」

「well……電話で来るって言ってたし」

「兄貴は俺と香が好きすぎるからなー菊が大変そうなんだぜ」

「わかる」

「……」

「……」

空気が重たくなっていく。

湾がいらぬ責任を感じていなければよいが、彼女のことだ。

少なくとも、“びっくりする”程度ではおさまっていないだろう。

ため息をつきたい気持ちで、香は外を眺める。

「やっぱ、外も調べなきゃならない系じゃね」

「俺は反対なんだぜ」

珍しく、神妙にヨンスが言った。

少し驚いて、香はヨンスに視線を戻す。

「But、ここがどこかもわからないし」

「ん。いずれは調べる必要があると思うんだぜ。でも、せめて俺がある程度情報を集めてからにしてほしいんだぜ」

「……You're right」

真剣な声と瞳に、そう答えざるをえなかった。

彼なりに責任を感じた上での、心配なのだろう。

ヨンスがPCで作業し、香が外を調査する、そう考えていたが、

――見張ってないと絶対無茶するな、こいつ

そう考えを改めた香だった。
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