第1章 社長令嬢
「…」
視線を感じた方を振り返るとKEIがいた
「あ、あの、ケイさん、
なにかありましたか?」
「…別に」
「そうですか…」
「ケイでいい」
唐突なことでポカンとしたけど
私は気を取り直して
「そんな、恐れ多いです」
「呼べないの?」
KEIが少し不機嫌になっている
「呼べます、ケ、ケイ…?」
恥ずかしさのあまりうつむいた
「…変わってる」
ケイがクスッと笑った
「あ、珍しい」
「うるさいよ、誠二」
「いつもそんな顔してたら
もっと人集まると思っただけです」
「どーでもいい」
とケイがこの場から離れた
「ケイと仲がいいんですね」
「いや、そんなわけでは…」
「そうなんですか?
あ、申し遅れました
渋谷誠二です」
「あ、先ほどはありがとうございます
飲み物、ありがとうございました
環奈です、改めてお願いします」