第10章 THE HAPPY END
笑いごとじゃないよ
助けてくれたのは嬉しいけど
…ほんとに心配したのに
気楽そうに笑っている
誠二くんにふてくされつつ、
手当てを進めていく。
「まあ、あれだ」
「なに?」
「…他の男がお前に触ってんの見て、
頭に血ぃ上った」
「…え」
「怖い思いさせて、悪かったな」
優しく囁かれて、
それ以上の言葉が言えなくなる。
…なんで、そんなに謝るの
胸の痛みと同時に、
たとえようのない嬉しさが、
胸の奥から溢れてくる。
目に熱いものがこみ上げてきて、
私はとっさに視線を伏せた。