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【進撃の巨人】Happy Birthday【生誕祭】

第1章 Happy Birthday Dear Levi




肌にピリッとする痛みを覚え、いつもより早い時間帯に目が覚めた。
ゆっくりと目を開けると、部屋は暗いのに窓の外がやけに明るい。

リヴァイは顔をしかめながら、ガラスの向こうに目を向けた。

空はようやく東側の地平線が紅く染まろうとしているだけで、厚くて黒い雲に覆われている。
しかし“明るい”と感じたのは、その雲からしんしんと舞降る白い結晶のせい。
地面に積もったそれは、世界の全ての音を吸収しているかのように、静けさを生み出していた。


「・・・・・・雪か」


やけに冷えるわけだ。

地下にいた頃、雨が嫌いだった。
水捌けが悪いくせに、地上からの雨水が流れ込み、地下街は下水道のような腐った臭いが立ち込める。
湿気のせいでカビがはびこり、時には伝染病のキッカケにもなった。


しかし、雪は例外だった。

その白さが清潔だと思ったし、何より・・・


“ 兄貴! 見て見て、雪だ! ”


窓の向こうの雪を見つめる三白眼が悲しく揺れる。
その瞳には、ある光景が蘇っていた。

通気孔として使われた、地上へと抜ける半径3メートルほどの穴。
その中央に佇み、顔を真っ直ぐと天へ向けていたイザベル。


“ 雪って美味しいんだ! ”


ただの氷じゃねぇか。
そう言ったリヴァイに、赤毛を揺らし、幼さの残る顔をプーっと膨らませる。
でもすぐに屈託のない笑顔を見せた。


“ 俺、初めて雪を見たよ。やっぱり今日は特別な日なんだな ”

“ ・・・特別? 何がだ ”

“ 何がって・・・何言ってるんだよ。ファーランに聞いたんだ、今日は兄貴の・・・わっぷ! ”


言いかけたところで、イザベルの横頬に柔らかく固められた拳大の雪玉が命中した。
リヴァイが振り返ると、後ろでファーランが悪戯っぽく笑っている。

“ ファーラン、不意打ちとは卑怯だぞ!”

イザベルは慌てて雪玉を作って投げるが、ファーランと違ってコントロールが悪く、あさっての方向に飛んでいく。
その間に、もう一発が左手に命中した。

“くっそー!”

わずか直径6メートルという小さな円の中で始まった、ファーランとイザベルによる雪合戦。
時々飛んでくるこぼれ玉を避けながら、リヴァイは盛大な溜息を吐いた。

でも・・・


悪くないと思った。






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