第2章 浴衣デート 切原赤也
8月半ば、蝉の鳴き声が聞こえる今日この日。近所の神社でお祭りがあるそうで、
私、立海大付属中2年の千崎ことのは待ち合わせ場所で待機中。
実は今日、彼氏とお祭りデートなんです!
「あ、悪いことの!支度にちょい時間使っちまった…って、お前ホントに浴衣で着たのか?」
「うん!…けど、何で赤也は普通に私服なの?」
「普通じゃねぇって!これでもちゃんとお洒落してきたんだぞ、お前の為に!」
「う…。」
そう、私の彼氏は同じ学校で同じクラスの切原赤也。元々幼馴染みだったんだけど、赤也から告白してくれて!
赤也はテニス部のレギュラー、私はそのテニス部のマネージャーで毎日一緒に居られて嬉しい…んだけど…。
「ほら、行くぞ!」
「あ、けど!私ちゃんと言ったよね赤也も浴衣着てって!」
やっぱり、大好きな人の浴衣って見たいし…。
「そ…それは…。」
こうなったら…
「…来て!」
グイッ
ことのは赤也の腕を掴み、神社から離れていく。
「お、おいことのどこ行くんだよ!」
「どこって、赤也の家。」
「は、はぁ!?何でだよ!」
「着替えさすの、おば様に言って!」
「…えぇぇぇ!?」
赤也の家に着いた私は、さっそく事情を説明。
「…と、言うことなんで宜しくお願いします!」
「まぁ、そうだったのね!それなら赤也、早く着替えなさい!」
「はぁ!?やだよ、いーじゃんこのままで!」
「だーめ、着替えなさい!ことちゃんと約束したんでしょ?」
「う…姉ちゃんまで…。くそっ、わぁったよ着替えればいいんだろ!」
「そうそう、それでいいのよ。少し待っててねことちゃん。」
「はい!!」
そして数分後…
「あら、やっぱりこの色似合うわ〜カッコイイわよ、赤也♪」
「けっ、う、うるせぇやい。」
あ、終わったのかな赤也の声も聞こえる。
扉が開いたから、玄関に座っていた私は腰を上げ、振り向いた。