第3章 きっかけ 真田弦一郎
ほんの些細な…
そう、一瞬の出来事だった…
あの日から私は、あるクラスメイトに一目惚れしてしまった。
私、千崎ことのが通う立海大附属中学校はテニス部が有名な中学校。
もちろん、どの部活にも力を入れてるんだけど、取り立てて一番目立つのはテニス部。
私も一度テニス部の練習を見たことはあるんだけど…すごく厳しそうだったのを覚えてる…。
「そりゃそうだよね…夏には大会があるんだし…。」
私は、1つため息をつき窓の外を眺める。今は放課後で耳を澄ませば運動部の声が聞こえてくる。
ここからはテニスコートがよく見える場所。
「真田君…頑張ってるなぁ…。」
真田弦一郎君。黒い帽子がトレードマークのテニス部の副部長さん。
彼とは3年間同じクラスだったんだけど、1度も話したことが無かった…。
でも、そんな私が彼と話したのがつい先日。そう、あれはテスト勉強をする為に図書室を訪れていたとき…。
あの時の私は、歴史の勉強やってて…。