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-only one-~T.Y~

第1章 -only one-


「私ね、親いないの。
母親は私が小学生のときに病気で
亡くなって、父親は生きてるけど
いないようなものだし。
私ね愛人の子だったんだよね。
今の私みたいに母親が水商売してて
父親と出逢ったみたい。
母親が生きてるころは本当に幸せだった。
ロシアと日本のハーフだったんだけど
私から見ても綺麗で優しくて自慢の
母親だったの。父親は大手の会社の社長で
生活費は十分あったみたい。でも母親が
亡くなってからは地獄のような毎日だった。
家族の反対を押しきって私を産んだ母親は
家族や身内と絶縁状態で身寄りのない私を
父親が引き取ってくれたの。父親の奥さんは
母親や私の存在を知っていたみたいで
夫婦の関係は冷めきってた。母親のお葬式が
終わってすぐ家に連れて行かれて、
その日から家事は全部私の仕事。
毎日のように、お前のせいでお前の母親も
みんな不幸になった。お前なんか生まれて
こなければよかったって罵声浴びせられて
酷いときは物で叩かれたり真冬に外へ
閉め出されたり。それでも私は騒いだり
泣きわめくと、もっと酷い目に合うと思って
ひたすら我慢したし気に入られるように
機嫌取るのに必死だった。 父親は他にも
愛人がいて家にはほとんど帰ってこないし
助けてくれる人なんていなかったから。
そんな生活を半年くらいしたときに
一人の叔父さんが、家を訪ねてきたの。
この子引き取らせて下さいって。私は
訳が分からなかったけど、この生活から
解放されると思ったら必死でその叔父さんに
しがみついてた。結局その叔父さんに
引き取られたんだけど、その人は母親が
働いていたお店のオーナーだったの。
病気になってからオーナーの元へ
もし自分になにかったら娘をお願いします
って、大金の入った通帳を持って
頭を下げに行ってたみたい。オーナーも
奥さんも本当にいい人で子供がいないから
私を本当の子供のように可愛いがってくれて
育ててくれたの。私の命の恩人。それが今
私が働いているお店のオーナーなの。
どうしても恩返しがしたくて。オーナーは
そんなことしなくていいって言ってるけどw」


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