第6章 接近のカタチ
・・・・・・・・言ってる日本語は理解できるけど、言ってる内容が理解できない。
ってこういうことをいうのか。
部屋で飲むって。
どういう状況のこと言ってるんだろ。
それ、初対面の女性には使う言葉じゃないよね。
翔くんって、こんなキャラだっけ?
もちろんTVとかでしか、彼の性格なんて知らないけれども。
こんな隙のない誘い、するんだ。
明らかに怪訝な顔をしたハズだけど、それに関しては何も言わず、カードキーを私の前にスッと差し出した。
翔 「先に部屋に行ってるので、それ、飲み終わったら。」
目元で軽く笑って、「じゃ、後ほど。」と言うと、私に背中を向け歩いて行く。
カウンターの端で立ち止まって、バーテンダーに何か喋ってる。
バーテンダーに軽く右手を上げて。
それから右手をポケットに突っ込んで、ドアの外へと姿は消えた。
その後姿を目で追っていた。
TVで見るのと違って、普通に30代の社会人男性みたいだ。