第9章 Endless Game (R18)
智 「終わった。」
頭だけ動かして、こちらを見る。
ほんの少し彼の方へ移動する。蹉跌が磁石に勝手にくっつきに行くように。
手首を掴まれた後、勢いよく引きずり込まれる。
有無を言わさずキスされる。
私の意思なんて、まるで無視だ。
まるで、黙らせるために唇を塞いでる。
ひかり 「・・・・・・んっ!」
顔を横にそむけて唇から離れる。
後頭部を掴まれて視線を合わされる。
こんな細い腕で、指で、でも力は強い。
智 「やんないの?」
じゃなきゃ、何しに来たんだよ。
そんな顔して私を見る。
反論できない自分にイラつく。
私の返事も聞かぬまま、ソファに押し倒され、覆い被さってくる。
服を捲り上げられ、胸に手が伸びる。
私の感情を全く無視して先に進むのが腹立たしくて、両腕で彼を押し戻そうしたら、あっと言う間に両手首を頭上に持ち上げられ、彼の右手で固定された。
・・・・・どこにそんな力あるの。
せめてもの抵抗で睨みつけたけど、口元に冷ややかに笑みを浮かべて唇を重ねられた。
舌でこじ開けられ、探索される。追いつめられる。掴まる。
絡め取られた舌がだんだん私の感情を麻痺させる。
意識が彼に抱かれることだけに集中し始める。
片隅で赤い信号が点滅してるのに。
徐々に霞んでいき、見えなくなる。
いつものように呑み込まれる。
抵抗しなくなった私を、彼の手と指が弄び始める。
こうすれば悦ぶから、じゃない。
こうすれば反応するのを知ってるから。
細くしなやかな指は機械的に動いてる。
分かってるのに、どうしてもその先にあるモノに手を伸ばしてしまう。
「もうやめなさい。」と誰かの声が頭の中でこだまする。
分かってるの。分かってるの。
でもダメなの。
塞いでも塞いでも忍び寄ってくる声を、振り払う。
何回も気を失いそうになりながら、急かされるままに壊れそうになる。
その瞬間の後、あてのないまま漂い続ける。