第2章 思わぬ出来事
とりあえず、寝よう。そう思ったところでドアをたたく音が響いた。
「アズサちゃん。起きてる?」
バーのオーナーの声だ。
聞き慣れた、耳に通りやすいが、嫌なわけではなく、落ち着いた声。
このまま出て説明するのめんどいし居留守使おうとした。
そう決め込んでソファで横になってると玄関ドアが開く音。
「あ、昨日のオーナーさん」
クロサワ、お前、開けやがったな。
この状況、どう説明するんだよ。
バスタオルで髪を拭きながら上半身裸のクロサワと大きな段ボール箱を持ったオーナーがリビングに入ってきた。
「クロサワ君、そのパンツ、皺になってるよ。もしかしてそれ履いたまま寝たの?」
オーナーは容姿の変わったクロサワに何の疑問も抱かず、裾を引きずるスーツの皺そんなどうでもいい心配をしていた。
「アズサちゃんはやっぱ僕の思ったとおり、若くてもかわいいねー」
ダンボール箱をどかっと床に置いたオーナーはひょうひょうとした様子だ。
そして、こう言った。
「僕は君たちに高校生活二年分をプレゼントすることにしました」
何を言ってるかサッパリである。