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言われてみれば、単純で。

第6章 言われてみれば、単純で。


「...先輩。これ、あげます」

彼女は目の前のローテーブルに置いてあった紙切れを俺に手渡す。
近場の水族館の案内。確かこれ、あの今日行ったお店においてあるやつだよね。
多分誘えってことでしょ。一緒に行きたいってこと。

でも俺は意地悪だからこう答えた。

「俺、ゴミ箱じゃないよ」

「それ、何処かで聞いた事あります」

「そうだね、俺も」

嬉しそうに笑ったキョーちゃんがとても可愛い。
可愛いと言うより愛おしい。
俺は彼女を引き寄せて額にキスをした。


「くすぐったいです」

「だろうね」

「あと、それだけじゃ足りないです」



日に日に素直になっていくキョーちゃんに驚かされながら今日もまた俺は彼女に翻弄される。


そういわれて見れば、単純な事だった。彼女の隣に居たかった、もっともっと近付きたかった、それだけ。
訳の分からない、感情の付いてこない口にしていた言葉がそれに気付かせるのを阻止していた。
ずっと、ずっと、キョーちゃんと一緒に、隣に並んで居たかった。
あのとき渡した、自分の分身だけじゃ足りなかったんだ。
俺自身が近くに居ないと意味がない。それだけの事だった。



今までも、そして、これからも。

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