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言われてみれば、単純で。

第6章 言われてみれば、単純で。


通勤途中キョーちゃんに会えるかもと駅までの道のりをゆっくり歩いてみたり逆に急いでみたり。
用もないのに再会したコンビニに行ってみたり。
無駄なことを続けた1ヶ月間だった。


彼女のメールには再会した日に行った居酒屋であの日と同じ金曜日、晩御飯でもいかがですか?というものだった。
ご丁寧に返信不要の文字。返すに返せない。
もちろん行く気であるのは確かだ。

キョーちゃんはよくあの店の話をしてたので自分も行った気でいた。
でもよく考えてみれば、あの時店主にまた来ると言ったっきり訪れていない。

よろしくと言われたのに泣かした挙げ句、手を出して1ヶ月放置された。
そんな最悪な状態であの店に行くのは少し勇気が必要だ。

現地集合。少し気が重い。
キョーちゃんに会えるのは嬉しい筈なのに何だか気が重いんだ。

俺はあの日以来初めて仕事を定時に上がり、あの店に訪れた。
店の前で煙草を3本吸った。それなのにまだ、入る勇気が湧かないでいる。

4本目を取り出そうとしたとき、店主が中から出てきた。
彼は俺の顔を見てにこりと笑う。

何だか申し訳なくて俯くと彼はこちらにやって来て俺の肩をぽんと叩いた。


「兄ちゃんの また は1年以上先のことなんだな」

俺がキョーちゃんの連れであることは分かったらしい。
一度しか会っていない筈なのに流石接客業、といったところか。


「ご無沙汰しております」

「まあ、楽にしな。藤崎ちゃん、すぐ来るだろうけどそれまで俺が相手してやるよ」
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