第4章 俺と君は、曖昧で。02
今日もシャワーを借りてリビングに戻るとキョーちゃんは本を読んでいた。
その指先を見つめていると今まで彼女の指先にあった違和感の正体に気付いた。
つい嬉しくなって彼女の手を引っ張ると読んでいた本がバタンと音をたてて彼女の膝から落ちていった。
「キョーちゃんのこの指曲がってない?」
「突然人の手握って悪口とか性格悪いですね」
「でもほら。俺の手と比べてみてよ」
キョーちゃんの掌と俺の掌とを合わせてみた。
少し曲がってる指が合わずにずれて隙間ができる。
「先輩の手は意外と男らしいですね」
「なにそれ」
「間接太いし、なんかざらざらしてるし」
「ざらざらって」
「あまりケアしてないってことです」
「しないでしょ、普通」
「冬とかカサカサになりません?」
「なったところで困らないし、それが冬って感じしない?」
「しないですよ。
あ、ハンドクリームここにあるから貸してあげます」
キョーちゃんはローテーブルの下にある小さな箱から彼女らしいシンプルなパッケージデザインのハンドクリームを取り出した。
それの蓋を開けてから俺に手渡す。
こんなのあまり使ったことないからよく分からない。
小さな頃無理矢理塗られてすごく嫌だったのを覚えてるから毛嫌いしていた。
だけどキョーちゃんにそんなこと言ったら格好悪いでしょ。
俺は言われるままにした。