第4章 俺と君は、曖昧で。02
金曜日。
缶ビール片手にキッチンに立っているとキョーちゃんが様子を見に来た。
「丹羽先輩、カレー飽きません?」
「飽きません」
「金曜の夜中と土曜の昼カレーなんですよ。毎週毎週」
「まあ美味しいからいいじゃん」
「ほんとカレーの腕だけは上がっていきますよね」
「まあね、俺努力家だから」
「毎週作ってれば嫌でも上手くなりますよ」
キョーちゃんは俺の持ってた缶ビールを取り上げて一口飲むとまた俺に返してきた。
自分のを開けてくれと思いながらも距離が縮んでいることに胸が高鳴る。
でも此処で浮かれてばかりはいられないので いつものように嫌なことのひとつでも言ってやる。
「そっかあ、じゃあキョーちゃんも毎日スキップしてれば?」
「あ…何で知ってるんですか」
「キョーちゃんがスキップドヘタクソなのは最初呑みに行った帰りに見たから知ってる」
「え、そうでした?」
「ほんと下手だよね」
「うるさいです。忘れて下さい」
「あれは忘れられないなあ」
あのリズムのとれない不器用でありながらも可愛らしくもあるスキップ。
忘れられるはずもない。
あのスキップを見た日から俺は此処にいるのだから。