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言われてみれば、単純で。

第4章 俺と君は、曖昧で。02


そんなわけで俺達はまさかの出来事によりこんな状態になっている。

キョーちゃんの家に俺に合う服なんてあるはずもなく、洗濯が終わるのを待つ間少し肌寒いことになるが致し方ない。

髪が乾いたところと言うか乾かされたところで俺は煙草を吸いにキッチンへ向かった。

先程溢したばかりだと言うのにまたワインをグラスに注ぎそのままキッチンに向かった。

煙草とジッポを取り出す。
スラックスがワインで濡れてたら絶対家に帰ってただろうな。
そんなことを考えながらワインを口にした。

換気扇の下で煙草に火を付ける。ポケットから真新しいジッポを取り出した。
このジッポは俺のお気に入り。

キョーちゃんが俺の誕生日に彼女のジッポと色違いのものをくれた。
彼女のジッポを悪戯半分でいつも使っていたので気に入ったと思われたみたいだ。
俺はこの形のジッポじゃなくてキョーちゃんのだから使ってただけなのにその辺疎いんだよな。
俺は最初にあったときに何度も使った「好き」という言葉をあれ以降口にしていない。

この曖昧な関係を壊してしまうのが怖いからなのかそれを楽しんでいるからなのか。
それともこれは「好き」ではない別の感情なのかもしれないと考えているのか。
それは自分でも分からない。

2本目に火をつけたとこでキョーちゃんがやって来た。

「丹羽先輩。鍛えてます?」

「なに?」

「身体」

「キョーちゃん。そういうこと言うのやめてよ。てか見ないでよ」

「なんでですか?」

こっちをじっと見られて少し恥ずかしくなる。
そりゃあ上半身裸でうろうろしてたら視界にはいるものは仕方ないとしよう。
でも凝視されるとこれはまた違うと思う。

そんなときでも悪戯心ってのは芽生えるもので。

「キョーちゃんも身体見せてくれるなら見ていいよ」

「丹羽先輩って馬鹿ですよね」

「一応俺、名門大学卒業」

「いや。丹羽先輩だけですよ、馬鹿なのは」

「意味分かんないよ」

「分かんなくていいですよ」

キョーちゃんはいつかみたいに煙草の煙を俺にぶつけて来た。
ふわふわ笑う化粧をしてないキョーちゃんは中学時代の彼女にいつもよりよく似ていた。
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