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黒執事 Blood and a doll

第11章 終焉



「ただの魂を食らうのは、もう飽きた。アリス・ヴァインツ……私は貴女を、貪りたいのです」


 彼はアリスへと、唇を寄せる。














「僕の姫様に、何してるんですか?」


 クロードの頭部を、誰かの足が襲い掛かる。見事な踵落としが決まったところで、ふわりとアリスを抱きしめる漆黒の長い髪を靡かせた燕尾服の男。


「クライヴ!!」

「汚い手で触らないでほしいですねぇ、クロードさん。僕の姫様は、永遠に死ぬまで僕だけのもの。彼女に触れていいのは、僕だけ」


 大切に大切に、クライヴはアリスを胸の中へと抱いた。


「クライヴ……素が出ているわ」

「申し訳ありません、姫様。お怪我はありませんか?」

「シエルが守ってくれたからね」


 そう彼女はシエルへと笑いかけると、照れたように彼は顔を背けた。


「やれやれ、坊ちゃんだといまいち頼りがいにかけますね」

「どういう意味だ? セバスチャン」


 セバスチャン、彼もまたシエルの元へと降り立つのだった。役者は揃った、アロイスの死体を抱いたクロードはアリス達に会釈する。


「それでは、いずれお迎いに上がります。アリスお嬢様」



 クロード達がいなくなった部屋で、四人は互いの視線を合わせるとすぐさま甲板へと飛び出した。市民達の脱出は既に済んでおり、小さなボートを出して四人は乗り込んだ。


「私はボートを押しますので、いきましょうか」


 セバスチャンが海に入り、ボートを押そうとしたまさにその時だった。


「セバスチャン! 今すぐボートに戻りなさい!!」


 アリスの銃が、海の中へ弾丸を放つ。一体何が? 誰もが視線を向け、月の光に照らされる海を見た。


 そこには、海に入っても未だ沈むことなく溢れ返る化け物の数。

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