第16章 南瓜
「私は何一つ、心配などしていません。姫様は弱い方ではありません、友人も自分の手でつくられるでしょうし……そもそも、干渉する必要など」
「では、我々はここで待っているとしましょう!」
「(しまった!! つい、姫様の素晴らしい部分を述べてしまった!)」
アグニに連れられ、クライヴはパーティー内の喧騒へと消えて行った。それを見ていたアリスとソーマは二人して顔を見合わせた。
「お前のとこの執事は面白い奴だな」
「そうかもね。貴方の執事も、なかなか見所あるんじゃないの?」
「そうか!? アグニの良さをわかるなんて、やっぱりアリスはいい奴だな!」
「それはどうも」
「そうだ。そんなお前に、一つ頼みたいことがある」
「何?」
「実は……」
ソーマが耳を貸せと口にすると、渋々アリスは自らの耳を傾けてその言葉を聞き入れる。彼がこそこそと頼み事とやらを告げるとアリスは途端に顔を歪ませた。
「セバスチャンにびっくりを仕掛けたい……?」
波乱の予感である。