第16章 南瓜
「シエルの友達は俺の友達だ! アリス、俺がこの屋敷内を案内してやろう!! なんていっても、俺はここ暫くこの屋敷で居候をしているからな」
「居候? なんでまた、ここに?」
「ん――……話すと長くなるから割愛でいいか? とにかく、俺はシエルと仲良しってことだけだ」
「(それじゃあ、何の答えにもなっていない)」
「アグニ! お前はその執事と一緒にいろ!!」
「わかりました」
「ひ、姫様!?」
クライヴがアリスを追いかけようとすると、アグニが容赦なく彼の腕を掴んだ。
「クライヴさん、時には主人のプライベートに踏み込まない優しさも必要です」
「勝手なことを言わないで下さい! あんな初対面な方と、姫様を二人きりにするつもりは……っ」
「クライヴさんっ!!」
「え? あ、はい」
アグニはぐっと彼と距離を縮めると、手を握り物凄い目力で見つめてきた。
「主人の人間関係には、ある程度踏み込まない勇気も必要です!! いいですか? これは、大事な交流というものなのです!」
「はあ……しかし」
「自分の主人が友達もいない人に育ってしまったらと考えると、不安にはなりませんか!?」
「……なりませんが?」
クライヴはため息交じりに、アグニに言葉を返した。