第12章 ●悪趣味の悩み
突然俺の服を咥え、
声を漏らさない様にし始めた凛には
かなり驚かされたが、これも
“凛らしい行動”の一部な気がする。
何故自分の服じゃなく、
俺の服を咥えるんだ?と問いかけると
背中に「こっちの方が興奮するでしょ」
と、平仮名で書かれ、
思わず吹き出してしまった。
確かにその方が俺の感情の熱は高まるし、
酷く昂奮することは必至だ。
……彼女は俺の情欲を促す行動を熟知している。
実質、凛と出会って
まだふた月程しか経っていない訳だが、
彼女には自分の性格から性癖まで
知り尽くされているような気分だった。
知られていないのは、
仕事をしているところだけか……
一番凛に知られたくないことを
最後に知られることを考えると、
どう足掻いても、憂鬱な気分と
例えられない絶望感が湧き上がる。