第22章 邂逅
翔太は孤児院で1番年下の弟。
泣き虫で怖がりで、いつも誰かの後ろに隠れているような子だった。
翔太「何年ぶりかなぁ、姉ちゃんに会うの」
あの時小学生だった弟は少しくたびれたリュックを背負い、
かっちりしたあまり似合わない制服に身を包んでいた。
『8年ぶり…かな』
翔太「そっか、そんなに経ったのか」
なんとなく、ギクシャクした空気が私たちの間に流れていた。
き、気まずい…
だって誰にも会わないと思って来たもの。
まさか会うなんて思わないもの。
翔太「俺、あの時の姉ちゃんと同じ歳になったよ」
あの時と同じ…ってことは高二??
『そっかぁ、大きくなったねぇ。彼女できた?』
これくらいしか話題が思いつかない…
翔太「うん」
『え…?』
翔太「え?」
耳を疑う。
『え、何何、もう一回言ってよく聞こえなかった』
翔太「だから、うんって」
『うんうんうん、何が?』
翔太「何がってなんだよ、姉ちゃんが聞いたんだろ。彼女だよ」
『カノ、ジョ…?』
翔太「そう、彼女いるよ」
頭が真っ白になり、私の背景に宇宙が広がるのが分かった。