第20章 選択肢は少なすぎても多すぎても困るもの
~さくらside~
沖田「おーいさくら、いいもん見っけやしたぜ」
お肉が完売し、真選組から借りていたBBQセットを片付けていると、総悟が大きな袋を持ってきた。
『あ、ちょっと!隠してたのに!』
沖田「まぁまぁそう硬いこと言わねェで。どうせこの後やるつもりだったんだろ?」
そう言って勝手に袋を開封する総悟。
『そうだけどさ…にしてもアンタ少しくらい躊躇しなさいよ…』
沖田「まぁまぁ…おっ、噴出しもあるんですかィ」
神楽「サドォ、何やってるアル?」
袋を漁る音につられた神楽ちゃんが袋の中身をのぞき込んだ。
神楽「これ…」
『あーもー…もう少し隠してようと思ってたのに…』
沖田「あ、オイ!」
総悟から袋を奪取した神楽ちゃんは私に袋の中身を見せて叫んだ
神楽「花火アル‼」
『うん、家に帰る途中で見つけて買ってきたんだ』
屯所からの道にある、少し小さな花火屋さん。
そこのおじさんに頼み、一番大きくて一番綺麗な花火を選んでもらった。
神楽「さくら!もうこれやって良いアルか!?」
待ちきれない様子の神楽ちゃんが私の着物の裾を掴んでねだる。
『そうだね、片付けもそろそろ終わるしやろうかな!土方さんからライター借りてきてくれる?』
神楽「了解ネ!」
両手に花火を持った神楽ちゃんが土方さんのところに駆けていく。
その様子を見ていると、視界の角に銀髪と綺麗な長髪が揺らめいた。
『お』
少し離れたところでいがみ合いながらお肉を食べていた二人が戻って来る。
『何?喧嘩?』
銀時「…いや」
『?』
戻って来た銀さんはどことなく歯切れが悪い。
桂「喧嘩なぞしておらん。いつものじゃれ合いだ」
そんな銀さんに変わって桂が困ったように腕を組んだ。
『ふーん』
神楽「さくら!借りてきたヨ!」
土方さんのマヨライターを持った神楽ちゃんが満面の笑顔で戻って来る。
『ありがとう神楽ちゃん。よし!やろっか、花火!』
神楽「私この一番でっかいやつやりたいアル!」
新八「神楽ちゃん、それ地面に置いてやるやつだから…」
蝋燭を少し溶かし、固定する。
火を灯して準備万端。
『花火なんて何年ぶりかなぁ…』
折角花火屋のおじさんに良いの選んでもらったんだ
『楽しまなきゃ損だ!』