過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第67章 分かり合いたい
「リヴァイ、今の話をした事にも理由がある」
真剣な表情で見据えてくるナナシの蒼眼が
怪しい光を灯しているように見え、
リヴァイはゾクリと身震いした。
直感的に嫌な予感がして、無意識に唾を飲み込む。
「長年生きていたり異常な戦闘力を持っていたりで
他人は言わずとも私が化け物だと勘付いているだろうが、
私から公言したのは今が初めてだ。エルヴィンにも
はっきりとは言っておらぬ。エルヴィンには異常性しか
語ってないからな」
「・・・・・何が言いてぇんだ?」
エルヴィンにも公言していない事を自分に告げたナナシの真意を
早く言うようにリヴァイが促すと、彼は遠い目をした。
「万が一、私の存在が他の兵団や・・・王政府によって
糾弾されたら、調査兵団は『化け物』を匿った咎があるとして
何らかの罰を背負わせられるだろう。
その場合、抵抗などせず私を引き渡す振りをして・・・・
私を殺し、この身体を奴らに渡さぬよう処分してもらいたい」
何を言われたか一瞬理解できず、リヴァイは目を見張る。
―――こいつは今俺に自分を殺せと言ったのか?
確かにナナシが本当の『化け物』だという事が知られれば
面倒なことになるかもしれないが、人類の味方だと主張すれば
命が助かるかもしれないし、エルヴィンが口八丁で
何とか上と交渉するだろう。
それなのに、ナナシは何故あっさりと自分に殺せと言うのだ?
こういう事は自分よりもエルヴィンに言うべきだ。
何せ、ナナシはエルヴィンに雇われているのだから・・・・。