過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第67章 分かり合いたい
そうリヴァイは自分に言い聞かせるように考えたが、
ナナシから返ってきたのは曖昧な微笑だけだった。
それが冗談で言っている訳じゃないと答えているようなもので、
リヴァイは心の中で動揺する。
それが真実だとして、今それを自分に明かした
ナナシの真意がわからない。
デメリットばかりではないか。
死んだ表情筋と言われてはいるが、
リヴァイが何を考えているのかわかったのだろう。
ナナシは淡々と話した。
「お主達から・・・妙な期待を寄せられても困るのだ。
私はお主達が思っている程強くないからな。だから・・・
リヴァイやミケに強くなってもらうしか無いんだ。
今の話は吐血した事を黙っていた詫びになるだろうか?」
それを聞いてリヴァイは「あぁ・・・そうか」と思う。
吐血していた事を黙っていたのは
リヴァイを信用していなかった訳ではなく、
兵団全体へのリスクを考えての事だったからと言いたいのだろう。
でなければ、『自分は化け物』だという重大な事を
自分に明かす事も無いし、デメリットしか存在しない。
ナナシは自分のデメリットなら負っても良いが、
他人も関わるデメリットについては徹底的に
秘密を貫き通すつもりなのだ。