過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第49章 男たちの戦い
「懇親会では皆着飾るから、君にも是非ドレスを着て参加して貰いたい」
「私は男・・・」
「君が男であったなら女装してくれというべきかな。
ナナバ達から君のメイク技術は一級品だと聞いているから、
それくらい出来るだろう?」
「・・・・・・・・・・・何の為に・・・」
「そこは何も聞かず私に従って貰いたい。悪いようにはしないよ」
大抵「悪いようにはしない」と言う奴は信用出来ない。
ナナシが胡乱な目でエルヴィンを見たが、彼の笑顔は崩れなかった。
恐らくここで了承しなければ、
一週間しつこく付き纏うつもりだろうと、
短い付き合いながらエルヴィンの行動が予想出来て
ゲンナリする。
そうなると面倒だし、女装は何度もしているし、
まぁ良いかとナナシが了承すると、エルヴィンは椅子から
立ち上がり満面の笑みを浮かべた。
「ありがとう!まさかこんなあっさり承諾してくれるとは
思わなかったから、とても嬉しいよ。ドレスはレンタルではなく、
私がちゃんと君専用に仕立ててあげるから、
早速仕立屋へ行こうか」
いそいそとナナシと出かけようとするエルヴィンに
ナナシは待ったをかけた。
「ドレスはいらん」
「いや、しかし・・・」
「持っているから、いらん。無駄遣いするな」
「・・・・え・・・・・・・・・・・」
予想外の言葉にエルヴィンとリヴァイは固まった。
何故男であるはずのナナシがドレスなど持っているのだっ!?
二人の疑問を感じ取ったナナシが、少し罰が悪そうに
「情報収集の為に持っているだけだ」と呟くと、
エルヴィンは真顔になりながら問い掛ける。