過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第47章 『絶世の美女』と嫉妬
「エルヴィン。このまま大人しく眠るか、
両腕両足の関節を外されて眠るか、一人で眠るか・・・
選ばせてやるぞ?」
「大人しく寝ます」
洒落にならない選択肢を提示してきたので、
エルヴィンは背筋が凍る思いで即答した。
関節を外されたらトイレにも行けない。
すごすごと手を引っ込めると、背を向けていたナナシが
身体を反転させてエルヴィンの方を向いた。
上目遣いでエルヴィンの顔を見上げるナナシにドキッとする。
「ちゃんと眠らないと仕事に支障を来すぞ?
ほら、こうしてやるから、さっさと眠れ」
そう言うとナナシは子供をあやすように
エルヴィンの頭を抱き締めて、髪を撫で始めた。
わざわざ身体をずらして包み込むように
抱き締めてくれたのには感謝するが、
エルヴィンはナナシの胸のぺったんこ具合に少し落胆した。
別に貧乳でも構わないが、この感触は男なのだろうかと考えてしまう。
ナナシが女であれば堂々と嫁に出来るのに・・・・。
「坊・・・良い子だから、ちゃんと眠れ」
「・・・・・・・・・もう『坊』では無い」
そう言いながらもナナシの身体を抱き締め直して、
エルヴィンは静かに目を閉じた。
目を閉じるとすぐに睡魔が襲ってきたが、
言いようのない違和感がエルヴィンを襲う。
ナナシの胸に耳を当てているはずなのに、
鼓動が全く聞こえない気がした・・・。
確認しなければ、と思えば思うほど意識が霞み、
エルヴィンは深い眠りに就いた。