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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第36章 模擬戦









「私の勝ちではないのか?」


立体機動はほとんど使わなかったが、
何でもありの勝負だったはずなので
兎や角言われる筋合いは無いと眉を寄せると、
我に返った兵士達が懐疑的な言葉を叫んだ。


「訓練用のブレードで木が斬れる訳がない!インチキだ!」

「そいつのブレードだけ本物だなんて、こんなの無効だ」

「卑怯者めっ!」


ナナシは「ふぅ・・・」と溜息を零すと、
批難している兵士達に近づき、
自身が持っている訓練用特殊ブレードを眼前に差し出した。


兵士は恐る恐る差し出されたブレードを手に取り、
本物のブレードか確認し言葉に詰まる。



それは確かに訓練用特殊ブレードでゴムのように柔らかい刃だった。

兵士達が困惑していると、助け舟を出すようにエルヴィンが
ナナシに歩み寄った。


「ナナシ・・・皆にわかるようにどのような技を使ったか
説明をしてくれ」


あまり技の説明とかはしたくないが、
インチキと思われるのも後々面倒になるので
ナナシは説明をし始めた。


「私が樹を斬り倒せたのは『柔剣』という特殊な技を使ったからだ。
それを使えば切れ味を格段に上げることが出来る」

「・・・・・・・柔・・・剣?」


エルヴィンはナナシの言葉に内心驚愕した。


エッカルトの日記に書かれていた技と同じ名前の技を使えるという事は、
ナナシも『狼』という組織と何らかの関係があるという事が明白だ。

しかも、かなり手練の部類に入るだろうと、
日記の文面を思い起こす。

柔剣という技は単独で出来る人間が限りなく少なかったはずだ。


高揚を隠しつつエルヴィンは更に説明を促したが、
ナナシは技についての説明を切り上げ、戦略について語り始める。




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