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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第5章 地下街のゴロツキ



「舐めやがって!」

「…すまぬが小娘、これは仲間に供えるものでな。
お主にやるものではない」

「はぁぁ!?供えるって死人にやるって事かよ!?」

「そうなるな」

「勿体ねぇな!死人はもう食えねぇんだ!
だったら、俺にそれ寄越せよ!」


死人はもう食えない…確かにそうだ。

これはナナシの自己満足でしかなく、
少女にとっては地下街では貴重な食べ物を粗末にしているようにしか見えないのだろう。

純粋だからそんな発想が出来るのか、
ただ単にお腹が空いているだけなのかはわからないが、
彼女の言葉は正論だと思う。


「…わかった。蹴った詫びにくれてやるよ」

「ほ、本当かっ!?」


お菓子を差し出すと、
少女は水を得た魚のように飛び寄ってきた。


「う、美味そうだな…これ何ていう食いもんなんだ?」

「……みたらし団子だ」

「ミタラシ…ダンゴ???何だ、それ。まぁいいや。
いただきまー・・・」


串を持ち大口を開けたまま少女は固まり、
団子とナナシに交互に見ながら何やら考え込んでいるようだった。


少しすると口を閉じ、
持っていた団子をナナシの眼前に突き出した。

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