過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第17章 物資と信用
「ハンジが居なくなってしまったから、代わりに会議に出席してほしい。
君の意見も聞きたい」
途端リヴァイ、ミケ、ナナバに取り囲まれ身体に緊張が走った。
これは拷問でもされるのか?という危機感が募る。
ハンジの代わりに・・・と言っているが
部外者の自分が会議に参加してもしょうがないだろうと思ったが、
それが単なる口実だというのもわかっていたので反論はしない。
有無を言わさぬ空気の中、
折れるしか無く渋々四人に着いて行くと本当に会議が開かれ、
部屋の片隅でその内容に耳を傾けた。
特記する事項は無いな~とぼんやり思っていると、
ふと装備している脚甲が随分すり減っている事に気付き、
替えがどこかに無いかな、と考える。
馬が潰れて自力で走った際、かなり消耗してしまった。
ナナシは妖の力を使えば、馬並みのスピードで走ることが出来る。
しかし、そうやって走ると靴が摩擦に耐え切れず穴が空いてしまうので、
それを防ぐ為に足の裏まである脚甲を着けているのだ。
走る度にいちいち履き潰していては経済的にもキツイ。
「・・・以上だ。明日が正念場となる。今日は交代で休んでくれ」
考えに耽っていたら、会議が終わったようだった。
班長達が去ると、リヴァイとエルヴィンが更に話し合いを始めた。
「・・・ガスの消費が思った以上だったな。
全員分満タンには出来ねぇ。最悪壁に上ることも難しくなる」
「そうだな。だが、もうどうにもならない」
「壁に着いた時の駐屯兵団からの支援はありそうか?」
「期待はできない。いっそ、火薬で壁付近にいる巨人を爆破したい気分だ」
黙って話を聞いていたミケが「物騒なことを言うな」と言うと、
エルヴィンは口角を上げ「冗談だ」と返す。
「そういえば、灯を灯す油がもう少ないって管理班が言っていたよ。
夜が明ける前まで保たないかも。
荷馬車二台がダメになったのが痛かったね」
「なるべく集中して過ごすようには?」
「言っておいた」