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ふたりだけのdestiny

第1章 ファーストキス



「ど、どうぞ?……」

「お邪魔しまーす。キレイな家だねー。
てか、ホントに姉妹で住んでんの?」

「……え、えぇ、まぁ……」

結局、送ってもらったあたしなんですけども、はい。

そこまでは、普通っちゃ普通ですよね。

問題はそこから。


遡ること数十分前。

「すみません、送っていただいて。いつか、お礼させてください。ありがとうございました」

あたしが行こうとしたら、腕を掴まれた。

「……ぇっ?」

「今日さ?ちゃん家……泊めてくれないかな」

「……!!??」

いやいやいやいやいや!

ちょっと待って?

一旦整理させてください。

………今なんと……?

「……だめ?」

いや、だめもなにも……

あまりに突然すぎるでしょ!

「終電、もうないんだよね」

いやいやいやいやいや!

終電がないって、あんな余計な言い合いしてたからですよね?

「ホテルに泊まるお金も持ってないしー?」

追い討ちをかけるように、二宮さんはあたしが断れない方向に持っていこうとする。

ホテルに泊まるお金も持ってないって、おろせばいくらでも泊まれるくらいの額はあるくせに。

「……ぁ、あの!
それは、ちょっと……」

あたしがなんとか断ろうと切り出すと、あっという間に壁と二宮さんに挟まれた。

「お礼、してくれるんでしょ?」

二宮さんは、勝ち誇ったように目を細めた。

「っ、それとこれとは別です!そ、そんなこと、できるわけないじゃないですか」

負けじとあたしがそう言い返すと、今度は口角を怪しげにキュッとあげた。

「へぇ~送ってくれた人にそんなこと言うんだ、ちゃん?」

「…っ…」

別に、送ってくれって頼んでないもん!

そう言い返したいのに、何故か二宮さんの瞳に捕まってしまった。

「………………今日だけですから!」

気づけばそんなこと口にしていた。

あたしは、悔しくて二宮さんを置いて家に飛び込んだ。

当の二宮さんは、本当に承諾してもらえるとは思ってなかったみたいで、玄関に突っ立ったまま。



そして、今に至るんです……。

あーぁ。


ますます変な方向に行っちゃうな……。

さっきから、二宮さんが何も話さずソファーに座ったきり沈黙を守っている。

「……に……二宮さん?どうか、しましたか?」

「…………むい……。」


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