第35章 -冬シチュ三部作③-(青峰/宮地/木吉)
「そんなことない。すごく嬉しいよ。」
わたしは清志からのプレゼントを
ギュッと握り締めた。
「あ!わたしもプレゼントあるの!」
わたしも用意していたプレゼントを
清志に渡した。
「開けていいか?」
「もちろん。」
清志は丁寧に包みを開けた。
「サンキュー。キレイな色だな。」
普段も使いやすいように、
ネイビーのマフラーにした。
でも、先のほうに、
横にオレンジのラインが入っている。
秀徳カラーのオレンジ。
プレゼントを探しているときに
一目惚れしてしまった。
「清志、これから受験でしょ?
風邪ひかないようにあったかくしてね。」
「おう。」
「「……。」」
お互い無言になってしまう。
「じゃあ…」
「待って‼︎」
「ん?」
清志が帰ろうとした瞬間、
思わず引き止めてしまった。
「…どうした?」
「寒いし…あがってかない?」
「…‼︎」
「あったかいコーヒー…いれるから。」
「…いいのか?(それって…)」
わたしは清志の手をギュッとした。
「うん。じゃ、行こっか。」
エレベーターの中も、
ずっと手を繋いだまま、
わたしの部屋にたどり着く。
「どうぞ。」
「…おじゃまします。
やっぱりキレイにしてるんすね。」
あ…また敬語。
さっき怒られたので、
思わず笑いそうになるのを、
グッと堪える。
でも、おかげで緊張がほぐれた。
「一応先に言うけど、
今日はコーヒー飲み終わるまでね?
明日も塾か学校の講習でしょ?」
「な…っ⁈わかってるよ。
(はぁ…そんなん1日くらい…)」
本当はずっと一緒にいたいし、
帰ってほしくないけど…
清志は受験生だし、
あまり長くは引きとめられない。
わたしはまた先輩ぶってしまう。
「ソファ座っててね。
すぐコーヒーいれるから。」
「なんか手伝うか?」
「ありがとう。大丈夫だよ。」
緊張がほぐれたのはあの一瞬で、
”コーヒー飲み終わるまで”
とは言ったものの、
やっぱりドキドキしてしまう。
コーヒーをいれながら、
チラリと清志を盗み見すると、
清志は手持ち無沙汰に
スマホをいじったり、
わたしの部屋を見回していた。
「あんまり見ないでね?」
コーヒーを2つ持って、
清志の隣へ行く。