第33章 -冬シチュ三部作①-(青峰/宮地/木吉)
「ほら、もういいから。
宮地くんも座ったら?」
「あ…あぁ。」
ポンポンとして、
わたしの隣に座るように促すと、
宮地くんはぎこちなく隣に座った。
「今日、寒いけど、天気良かったから、
星がよく見えるね。」
そう言ってベンチに座ったまま、
空を見上げる。
「うわぁ…ホントだ…すげぇ…」
宮地くんも横で同じように
空を見上げていた。
「オリオン座だぁ。」
「オリオン座ー⁈どれっすか?」
「知らないの?あの3つ並んだ…」
「はぁ?3つ〜⁈」
…っ⁈
オリオン座を探すのに
夢中になった宮地くんが、
ぐいっとわたしに近づいてきて、
宮地くんと手が触れた。
「「…⁈」」
2人で同時にビクッとなり、
お互いに触れた手をはなした。
「すんません…」
「え?なにが?大丈夫だよ?…っ⁈」
くっつきすぎたことを
謝っているのかと思っていたら、
突然宮地くんがわたしの手を
ギュッと握ってきた。
「手…冷てぇから。
オレが待たせたせいっすよね。」
「そう?冬なんて
皆こんなもんでしょ?」
「にしても、冷たすぎ…」
「そうかな?冷え性だからかな。」
ただでさえ、
遅れたことを気にしてる宮地くんに
これ以上気負いしてほしくないし、
なにより、
わたしの緊張を悟られたくなくて、
適当にごまかすと、
宮地くんはさらに手に力を入れ、
ギュッとしてきた。
「手繋いでるとかじゃないんで。
冷え性なら…しょーがねぇから、
あっため…ますよ。」
…っ⁈
ド…ドキッとしちゃったじゃない…。
宮地くんのバカ…。
「ふふ…ありがと。」
わたしはすごいドキドキしているのに、
気にしてないようにしながら、
そのままもう一度空を見上げた。
宮地くんはオリオンみたいだなぁ。
オリオンは類稀なる美青年。
でも、オリオンは、
恋に落ちた月と狩りの女神、
アルテミスに射抜かれて死んでしまう。
自分を女神に例えるのも
だいぶおこがましいけど、
宮地くんがオリオンだとしたら、
射抜かれたのは、
オリオンの宮地くんではなく、
心を宮地くんに射抜かれた…
アルテミスであるわたしのほうだ。
変なの…
「ふふ…」
自分の妄想に思わず笑ってしまう。