第33章 -冬シチュ三部作①-(青峰/宮地/木吉)
まさかそのやりとりのあと、
大輝がずっと口を聞いてくれないとは、
思ってもいなかった。
でも、わたしも謝る気になれなくて…
気がついたら3日も話していなかった。
電話もメールも一切無し。
淋しかったけど、
わたしもどうにもできなかった。
「諏佐さんがいいなんて…
一言も言ってないよ?」
大輝の腕の中で、
大輝の背中に手を回す。
「…わーってるよ。」
「…大輝のバカ。」
「…うっせーな。」
「…バカバカバカ‼︎」
…涙が溢れてきてしまう。
「バカバカうっせーよ。」
大輝が頭をポンポンとしてくれた。
「さ…淋しかったんだから…。」
「…っ⁈(ドキッ…ったく…)」
大輝がもう一度強くギュッと
してくれたと思ったら、
急にほっぺをつねられた。
「冷てっ‼︎」
「痛ーいっ‼︎もぉ…」
顔をあげて、また拗ねて大輝を睨む。
「…っ⁉︎
(やべ…っ…可愛い顔すんなよな…)
すみれ…おまえ…」
「なぁに?」
「ぷっ…鼻真っ赤…トナカイみてぇ。」
…っ⁈
大輝はわたしの頬を、
両手でギュッとしてから、
わたしの鼻の頭をつまんだ。
「んっ⁈ひゃぃひっ‼︎もぉっ‼︎」
大輝につままれた鼻を押さえて、
大輝から離れた。
「…⁈ははっ…わりぃわりぃ。
つぅか、離れんなって。」
…っ⁈
すぐに大輝に引き寄せられ、
わたしはまた大輝の腕の中にいた。
「…くしゅんっ!」
「…わりぃ。」
「…?大輝?」
大輝がまた謝るのが不思議で、
思わず顔をあげると、
大輝は悲しそうな目で、
わたしを見つめていた。
「オレが待たせたからだよな。」
「大輝…くしゅんっ!」
またくしゃみをしてしまうと、
また大輝がギュッとしてくれた。
「ふふ…あったかい…。
またくしゃみしちゃおっかな。」
「あ?なんでだよ?」
「くしゃみすると、
大輝がギュッてしてくれるんだもん。」
「バーカ。そんなんしなくても、
すみれが嫌っつっても、
ずっとしてやるよ。」
「くしゅんっ‼︎」
「すみれ、マジで風邪ひいたか?」
大輝がもう1度抱き締めてくれる。
それだけで寒さが吹っ飛んだ。
大輝の腕の中は本当にあったかかった。
---End---