第32章 -関係-(宮地清志)***
-宮地side-
夏の合宿から数ヶ月…
すっかり季節は変わり、
いつのまにか衣替えも終わって、
冬服もだいぶ見慣れてきた。
けど…
いろんなことが変わったのに、
変わらないことがひとつ…。
「宮地ー!」
「あ⁈なんだよ⁈」
「コレ、持ーって♪」
「はぁ⁈」
そう言ってすみれに渡されたのは、
大量のドリンクボトル。
「なんなんだよ⁈轢くぞ‼︎」
「どーやってー?
だってたくさんあるんだもん。
あ!裕也!裕也‼︎」
……。
裕也が通りかかると、
すみれはオレを無視して、
裕也を呼び止めた。
「なんだよ?すみれ?」
「裕也も持ってーー!」
すみれは裕也にも
ドリンクを持たせた。
「はぁ⁈…ったく。
相変わらず人使い荒いよなぁ。」
「裕也、優しーい♪
ほらほら、2人とも行くよー。」
部活前…すみれはオレと裕也を従え、
体育館に向かう。
季節が変わっても変わらないこと…。
すみれとオレの関係。
今までの仲良い友だち…のまんまだ。
ついでにもう1つ変わらないこと…
こいつの…すみれのオレの呼び方…
相変わらず…オレのことは”宮地”…
裕也のことは”裕也”…と呼んでいた。
つぅか、呼び方云々の前に…
あん時…たしかにオレ…
こいつにキスしたよな⁈
キスだけじゃ
伝わんねーのかもしんねーけど、
にしたって、
あいつ変わらなさすぎだろ…。
なんとも思われてなかったのか…?