第20章 -年上-(黄瀬涼太)**★
「如月か〜。お前も久しぶりだなぁ。」
「って、げんげん…(笑)
げんげん、太りました〜っ?」
「おいっ‼︎しずかっ‼︎お前な!
オレもガマンしてたんだぞっ!」
「だ…だって…
昔はけっこうカッコ良かったのに…
あははっ(笑)」
…っ⁈
しずかっちは
青柳という人の腕に捕まり、
クスクス笑っていた。
「おい…お前ら…」
「「あ…すみませんっ‼︎」」
「相変わらず息ピッタリだなぁ。」
武内監督は半分呆れながらも、
どこか嬉しそうだった。
「お姉さん!
お姉さんはオレの運命の人ですっ!
今日はオレのためにココへ…?」
「え…っ⁇」
突然の森山先輩の発言に、
しずかっちは困惑していた。
「「(あのバカ…)」」
…笠松先輩と小堀先輩の心の声が
手に取るようにわかった。
「アホかっ。
こいつらは、お前らの先輩だ。
昔、主将だった青柳誠と、
マネージャーだった如月しずかだ。」
武内監督がしずかっちたちを
皆に紹介した。
「昔って、なんかひど〜い。」
「そりゃ、そうだろ?
オレらがいたの、10年前だぞ?」
しずかっちは
青柳さんと腕を組んだまま、
楽しそうに話していた。
オレはこんなに
しずかっちを見てるのに、
しずかっちは1度もオレを見ない。
「…?そういえば、
お前ら、もしかして…」
「はい♡付き合ってるんです♡」
…っ⁈⁈
しずかっちのことばに、
オレは心臓が止まるかと思った。
なんで…っスか…?
でも、彼氏がいないと、
オレが勝手に思っていただけで、
しずかっちに
直接言われたわけではなかった。
でも…
でも……
「しずかっち!」
オレは思わず2人の前に出た。
「リョ…黄瀬くん…久しぶりだね。
この間はゴメンね。」
しずかっちはオレのコトを
”黄瀬くん”とわざわざ呼び直した。
「あ!
もしかしてこないだ言ってたコか?」
「うん!」
「ゴメンなぁ。
酔っ払いのコイツ、
送ってくれたんだって?
コイツ、酒弱いのに飲むんだよ〜。
ほんと申し訳ない!」
青柳さんは屈託のない笑みで
オレにそう言うと、
しずかっちの頭をポンとした。
「いたーーい!お酒弱くないもん。」
素で拗ねるしずかっち…
オレには見せたコトのない表情だった。