第16章 -保健室-(青峰/宮地/赤司)
-宮地清志×後輩-
「すみれ…」
…チュ。
「ん…⁇宮地…先輩…⁇」
夢…⁇
大好きな宮地先輩にキスをされる夢…。
こんな素敵な夢なら覚めないで…
そう思うのに、わたしの意識は無情にも
現実に引き戻されていった。
「んん…ふぁ…」
なんか…よく寝たなぁ…
しかも…いい夢見ちゃった…
宮地先輩に…キス…され…
「うおっ!すみれ…っ⁈」
「…っ⁈宮地先輩⁉︎」
「あ…っ。お…おう…大丈夫か⁈」
夢なら覚めないで…
そう思いながら目を開けたら、
目の前に宮地先輩がいた。
「あの…なん…で…ココ…?」
保健室…?そっか…
わたし…サッカーボールが当たって…
「高尾から聞いた。
お前、どんだけボーッとしてたんだよ?
そんなどんくさいほうじゃないだろ?」
「…はい。」
たしかにわたしは
運動はそれなりにできる。
中の上くらいは。
でも、ボーッとしてたのは、
貴方のせいです…宮地先輩…。
…とは言えない。
だって…高尾くんから、
宮地先輩に好きな人がいるって聞いて…
頭が真っ白になっちゃったんだもん。
「ま、顔色良さそうだし、
先生も目ぇ覚めたら
帰っていいっつってたし、
すみれ、帰れそうか?」
わたしのホッペに手を当てて、
宮地先輩は
わたしの顔を覗き込んできた。
「は…い。」
ね…熱出ちゃうよっ。
「あ…宮地先輩、部活は⁈」
「体育館の照明点検で休みー。
送ってやっから。帰るぞ?」
「いいんですか⁈」
「おう。…イヤなのかよ?」
「イヤじゃないです‼︎嬉しい!
ありがとうございます。」
キスされて(夢だけど…)
送ってもらえるなんて、
こういうの…
怪我の功名っていうのかな。
「じゃ、お前の荷物取ってくるわ。」
「すみません…何から何まで…。」
「別にこんくらいかまわねぇよ。」
「あ!そういえば‼︎
夢に宮地先輩がでてきました♪」
「は⁈…どんな夢だよ?」
「う〜ん…夢の中で…」
「…⁇」
「やっぱり秘密にしときます♪」
「なんでだよ?」
「ちょっと恥ずかしいからです。」
わたしはごまかすように、
布団の中に隠れた。
「はぁ?後でぜってぇ聞く!
とりあえず荷物取ってくんな。」
そう言って宮地先輩は、
いったん保健室を出ていった。