第15章 -内緒-(黄瀬涼太)
「まーた赤くなってる♪」
黄瀬くんが、
わたしの顎あたりに手を伸ばしてきた。
「や…っ!黄瀬くん…⁈あ…あの…」
「また…お弁当作ってくれる⁇」
黄瀬くんはジッとわたしの目を見つめ、
視線を外さない。手もそのまま…。
どんどん距離が近づいていき、
あっという間にキス寸前だった。
ど…どうしよう…!
恥ずかしいのに動けない。
「ダメ…⁇すみれっち…⁇」
わたしの顔に触れる黄瀬くんの手が
優しく動き、
口を動かした黄瀬くんの唇が
かすかに触れた。
……っ⁈
「すみれっち⁇」
今までに見たことのないような
甘い顔でわたしを見つめる黄瀬くん…
限界だった。
「う…うん。いい…よ。」
わたしはやっとの思いで
黄瀬くんから離れ、
気づいたら頷いていた。
「やったーーーーーー♪」
ズルイ…。
あんな言い方されて
断れる女のコなんていないよ…。
しかもあれ…ほぼキスだよね…⁈
キスくらい…
アメリカでしたことあるけど、
あんなのズルすぎるっ!
でも、そうやっていろんな女のコと
遊んでるのかな…。
ちょっとだけそう思った。
断るなら今だ…
そう思うのに断れなかった。
黄瀬くんと仲良くなれる…
少しでも一緒にいられると思ったら、
不安な気持ちよりも、
楽しみな気持ちを優先させてしまった。
結局次の日からもお弁当を作り、
小テストの日まで毎日勉強会をした。