第16章 雄英文化祭編
「おい、こいつ爆豪じゃね?あの爆破の個性のやつか!?」
男子生徒の一人が、爆豪の顔を認めた途端、明らかに狼狽した声を上げた。
先ほどまで強気だった男たちの顔から、みるみる余裕が消えていく。
「……あ?」
爆豪は眉間に皺を寄せると、掴まれていたおもちの手首に一瞬だけ視線を落とした。
次の瞬間、彼の手の平から小さな爆発が弾ける。
パチッ、パチパチッ。
火花が散り、乾いた破裂音が廊下に響いた。
「俺が誰か分かった上で、まだここにいたいってんなら、別に構わねぇぞ」
低く、凄みのある声。
それだけで十分だった。
「わ、悪かったって!」
「ちょっと声かけただけだろ!」
「行こうぜ、もう!」
三人は慌てて言い訳を並べると、逃げるようにその場を去っていった。
その背中を見送った爆豪は、舌打ちを一つ。
「チッ。くだらねぇ」
「みんな助かったわ。ありがとう」
おもちは、ようやく息を吐き出した。
胸に抱いた赤ん坊を揺らさないよう気をつけながら、切島と上鳴にもほっとした表情を向ける。
「いや、当然だろ!あんな嫌がってんのにしつこく絡むなんて、男じゃねぇ!」
切島は眉を寄せ、去っていった男子生徒たちの方を見やった。
「ほんとだよ。てか、あいつら二年生だろ?後輩にあんなことするとか、何考えてんだよ……」
上鳴も呆れたように肩をすくめる。
そんな二人の隣で、爆豪はまだ不機嫌そうな顔をしていた。
「おい。つーか、なんでテメェはそんなにガキども引き連れてんだ?」
ようやく本題を思い出したように、爆豪がおもちへ問いかける。
その視線が、彼女の胸元に抱かれた赤ん坊へ。それから、彼女の傍らに並ぶ三人の男の子たちへと移った。
「……は?」
爆豪の表情が固まった。
「……おい、待て」
切島も、目の前の光景を二度見する。
「えっ、ちょっと待って!?この子たち……!」
上鳴は口を半開きにしたまま、三人の男の子を順番に見比べた。