• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第16章 雄英文化祭編


死穢八斎會の地下研究所。

怖くて、苦しくて、何も信じられなかった日々。
そんな自分を守るように立ち、優しく声をかけてくれた、金髪の女性。

ステラ。

あの時も、彼女は自分を怖がらせないように微笑んでくれた。

自分が傷つかないように。

自分が泣かないように。

そして、最後には、緑谷のもとへと送り出してくれた。
もう会えないかもしれないと思っていた。
あの時の温もりは、もう二度と感じられないのだと思っていた。

それなのに。

今、目の前にいるお姉ちゃんは、あの時と同じように自分を抱きしめてくれている。


エリの瞳に、じわりと涙が浮かんだ。

「……おねえちゃん」

「ん?」

「……あのときの、おれいがしたかったの」

おもちの足が、ぴたりと止まった。

エリは彼女の首に小さな腕を回した。


「ステラおねえちゃんが、わたしを守ってくれたから……」
声が震える。


「だから、ありがとうって……ちゃんと言いたかったの」


ぽろり。
大きな瞳から、涙がこぼれ落ちた。

「……ありがとう、おねえちゃん」

おもちは、目を細めた。
胸の奥が、じんわりと温かくなる。


あの任務で、何度も自分に問いかけた。
これでよかったのか。

もっと違う方法があったのではないか。
自分の行動が、この子の未来に何を残したのか。
答えの出ない問いを、ずっと抱えていた。


けれど。
こうして、自分の腕の中で泣いてくれる少女がいる。
あの時のことを覚えていてくれて、ありがとうと伝えてくれる。


それだけで、十分だった。
おもちは、エリの頬に伝う涙を指先でそっと拭った。

「……ふふ」

そして、どこか懐かしそうに笑う。

「泣き虫さんは、変わってないね」

その声は、あの日と同じ優しさを帯びていた。


エリは、涙を浮かべたまま笑った。

「……だってぇ……」

「うん、うん」

「……おねえちゃんに、会えたから……」

「……うん」

おもちは、エリをもう一度ぎゅっと抱きしめた。

「会えてよかったね、エリちゃん」

「……うん!」

その返事を聞いて、彼女はまた微笑んだ。
/ 843ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp