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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第16章 雄英文化祭編


「……あのね」


壊理が、そっと口を開いた。

「ん?どうしたの、壊理ちゃん」

緑谷が顔を向けると、壊理は少しだけ迷うように視線を落とした。
小さな手が、膝の上でぎゅっと握られる。

「……ステラおねえちゃんは?」

その名前を聞いた瞬間、緑谷の心臓が跳ねた。

「ステラ……?」

相澤が聞き返す。

ミリオも不思議そうに首を傾げた。

壊理は、恐る恐る顔を上げた。

「あのとき……わたしを、暗い地下室から助けてくれたの」

その声は、先ほどよりもか細かった。

「ステラおねえちゃんが、わたしを助けてくれたの。優しくしてくれて……」

言葉を続けようとして、壊理は一度唇を閉じた。

記憶の中にいる女性の姿を、確かめるように。

「……おねえちゃんは、いまどこにいるの?」

緑谷は、胸が締めつけられる思いがした。
そうだ。

壊理にとって、あの女性はただの敵側の人間ではなかった。
暗く、冷たい地下室に閉じ込められていた自分に、優しく接してくれた人。

恐怖の中にいた壊理に、ほんの少しでも安心できる時間をくれた人。

そして、緑谷が助けに来るまでの間、彼女の心を支えてくれた人だったのだ。

壊理は、ずっと気になっていたのだろう。
自分を助けてくれたお姉ちゃんは、今も元気でいるのだろうか。

また会えるのだろうか。

もしかしたら、自分が何か悪いことをしたから、いなくなってしまったのではないか。

そんな不安まで抱えていたのかもしれない。

恐る恐る名前を口にする壊理を見て、緑谷の胸は痛んだ。


けれど、今ここで自分が真実を話すわけにはいかなかった。

通形は、ステラの正体がおもちだったことを知らない。

相澤もまた、彼女があの潜入捜査を担当していた人物だとは知らないのだ。


あのとき、変装した彼女を見た緑谷だけが、その正体を知っている。
そして、おもち自身も、まだ壊理に自分の正体を明かすつもりはないだろう。

緑谷は、相澤の返答を待った。

相澤は少し考えてから、静かに答えた。

「ステラという女性は、あの現場からすでにいなくなっていた。今、どこにいるのかはわからない」

「……そう、なんだ」

壊理の視線が、ゆっくりと下がった。

「また、会えるかな……」

その問いに、相澤はすぐに答えなかった。
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