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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第15章 死穢八齋會


自分は今、何をしているのだろう。


壊理を安心させた。

緑谷たちを守るために、知崎の前で少女を引き取る形を作った。


潜入者としては、正しい判断だったのかもしれない。

けれど。
腕の中で小さく震える少女を抱きしめながら、彼女は理解していた。

この子を、ただの任務対象として見ることは、もうできない。

「……へえ」

頭上から、知崎の声が降ってきた。


彼女は顔を上げない。
壊理を抱く腕にも、余計な力を込めない。
ただ、自然な動作で少女の髪を撫でた。


「随分と懐かれたもんだな」


知崎の視線が、彼女と壊理を行き来する。

「……お前、子どもの扱いが上手いんだな」

「そうでしょうか」

彼女は、何でもないことのように微笑んだ。

「怖がっている子を、無理に引っ張るのはかわいそうですから」

一瞬。
知崎の目が、冷たく光った。

「……そうか」

穏やかな声だった。

けれど、彼女には分かった。
彼は、まだ納得していない。


なぜ、さっきまで緑谷にしがみついていた少女が、自分からこの女のもとへ移ったのか。


なぜ、初対面のはずの彼女に、これほど素直に身を預けたのか。


その違和感を、知崎は見逃していない。
彼女は壊理を抱いたまま、心の中で静かに警戒を強めた。
そして、ほんの一瞬だけ、緑谷へ視線を向ける。


緑谷は、まだ彼女を警戒していた。

当然だ。

彼にとって彼女は、少女を連れ戻そうとする男の仲間にしか見えない。


それでも、彼女は目を逸らさなかった。

言葉にはできない。

今は、何も伝えられない。


ただ、腕の中の少女を傷つけさせない。

それだけは、決めていた。


壊理は彼女の胸元に顔を埋め、ぎゅっと服を握りしめていた。


彼女はその小さな手を見下ろし、誰にも聞こえない声で呟いた。



「……大丈夫だからね」


その言葉が、任務のための演技なのか。
それとも、彼女自身の心から出たものなのか。
もう、自分でも分からなくなり始めていた。
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