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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第15章 死穢八齋會


やがて交渉が一区切りついたところで、彼は彼女へ声をかけた。

「お前」

「はい」

「名前は?」

彼女は一瞬だけ間を置いた。
公安が用意した偽名を、淀みなく口にする。

「ステラ、とお呼びください」

「ステラ……」

治崎は、その名を確かめるように繰り返した。

「覚えておこう」

そして、淡々と命じた。

「お前は今後、俺の近くにいろ。外部との会合にも同行しろ。お前のような人間は、使い道がある」

「承知しました」

彼女は一礼した。

その表情に、不満はない。
命令を受けた用心棒として、自然な態度だった。
だが、内心では、静かに状況を整理していた。

治崎からの信頼を得る機会が増える。
それは、潜入任務において大きな利点になる。

同時に、彼の行動を間近で監視する必要も生じる。
危険は増す。

しかし、得られる情報も増える。

「……悪くないわね」

彼女は心の中で呟いた。

やがて、死穢八斎會とヴィラン連合は、互いの利益のために手を組むこととなった。

ヴィラン連合は、治崎の計画に協力する見返りを得る。

治崎は、自らの目的を進めるための手駒を得る。
そして、その間に立つ彼女は、両者の動向を探る立場になった。

廃倉庫を出る直前、彼女は一度だけ振り返った。

マグネがいた場所には、もう何も残っていない。

人が一人、消えた。
その事実だけが、冷たい現実としてそこにあった。


彼女は目を伏せ、すぐに前を向いた。
ここでは、感情を表に出すことは許されない。

怒りも、悲しみも、恐怖も。
すべてを胸の奥にしまい込んで、与えられた役割を演じ続ける。


それが、今の自分にできることだった。

「ステラ」

治崎に呼ばれ、彼女は歩みを止める。

「はい、オーバーホール」

「次からは、お前も同行しろ。今回のような連中と付き合う以上、腕の立つ人間が必要だ」

「かしこまりました」

彼女は静かに頭を下げた。
金髪のウィッグが、夜風にわずかに揺れる。

その横顔には、何の感情も浮かんでいなかった。


昼間は、雄英高校の生徒。


夜は、死穢八斎會の用心棒。
そして今、彼女はヴィラン連合の中核にまで、その存在を知られることになった。


潜入任務は、確実に次の段階へ進んでいた。
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