第15章 死穢八齋會
死柄木は、歯を剥き出しにして彼女を睨んでいる。
「お前……覚えてろよ……!」
「覚えておくわ。あなたが、随分と短気な男だってこともね」
彼女は薄く笑った。
その余裕が、死柄木の怒りをさらに煽る。
だが、彼は動けない。
彼女の両足が腕を押さえ、銃口が額を捉えている。
そして、彼女は決して隙を見せなかった。
やがて治崎が一歩、前へ出た。
「……もういい。下がれ」
彼女は死柄木の手の位置を確認しながら、ゆっくりと身体を離した。
銃口は最後まで相手から外さない。
死柄木が起き上がった瞬間、彼女は距離を取り、二丁の拳銃を構えたまま治崎の側へ戻った。
誰も、彼女を止めなかった。
止められなかった、と言った方が正しいかもしれない。
死柄木は全身から怒気を放ち、治崎を睨みつけている。
「……お前の組織、面白い奴を飼ってんじゃねぇか」
吐き捨てるように言った。
治崎は彼を見下ろし、冷ややかに答えた。
「今の一件で、話を終わらせるつもりはない。こちらにも目的がある。お前たちにも、利用できるものがあるはずだ」
死柄木は首元を掻きむしった。
怒りは消えていない。
だが、目の前の女が単なる用心棒ではないことは、彼にも分かったのだろう。
「……チッ」
やがて、彼は不快そうに舌打ちした。
「話を続けろ」
交渉は、再び動き始めた。