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ずっと前から (降谷零/R18)

第1章  【もう一度、君に恋をする】



その日の夜、
知らない番号からメッセージが届いた。

『降谷です』

そして続けて、

『明日の夜、時間をいただけませんか』



*

翌日

二人は静かな喫茶店で向かい合っていた。

「……警察、やめたの?」

「いいえ。僕は今も警察官です。」

じゃあ、やっぱり……

「ポアロで働いてるのは、何かの捜査として、なの?」

零くんは少しだけ困ったように笑った。

「はい。捜査の一環です。
詳しくは言えませんが、今は“安室透”として生活しています。」

「そっか……」

偽名を使って生活しなければならないほどの捜査。

七年前の言葉が、よみがえる。

──僕だけではなく、周りの人にも危険がないとは言えません──

「あのとき……」

離れるための言い訳じゃなかった。
本当に私の安全を考えた上での決断だった。

「私のこと、嫌いになったのかと、ずっと思ってた。
離れるための、言い訳をされたのかなって。」

「まさか……!」

即答だった。

顔を上げると、零くんの目は、まっすぐこちらを見ていた。

「むしろ逆です。」

「……え?」

「あの頃の僕は、あなたにのめり込みすぎていました。」

「……」

「あなたといる時間が幸せで、あなたのことを考える時間が増えて……」

零くんは苦笑する。

「このままじゃ、任務に支障が出ると思った。」

「だから、離れたの?」

「はい」

「……」

当時の気持ちが蘇って、泣きそうになった。

「私、あのとき……離れたくなかったよ……」

「……すみません」

「零くんといる時間が楽しくて、連絡がくると嬉しくて、もっと、同じ時間を共有したかった……」

零くんは悲しそうに笑う。

「言われたことも全然、理解できなくて。
零くんの気持ちも、ちゃんと言って欲しかったよ。」

「……言える立場じゃありませんでした。」

零くんの表情が苦しそうに歪む。

「一方的に離れて、あなたを傷つけたこと、ずっと後悔しています。」

そして、ゆっくり手を伸ばした。
けれど、触れる寸前で止めた。

「……今でも、僕はあなたを巻き込みたくないと思っています。」

「じゃあ、また離れていくの?」

「……いいえ」

零くんは静かに首を横に振った。

「今度は、離れません。」
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