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ずっと前から (降谷零/R18)

第23章 満開の桜


✿* *

本当に、あっという間だった。

見る見るうちに悪化し、治療法もなかった。

先進医療を求めてご両親はを連れてアメリカへ行ったが、それきり、戻っては来なかった。

何度も何度も、会いに行きたいと懇願したのに、は僕に会うことを嫌がり、病院さえ教えてもらえなかった。

弱りきった姿を絶対に見せたくなかったという。

僕が思い出すは、元気に笑っている姿のままで記憶に残してほしかったと聞いた。



まったく、頑固者だな…───





…………

正直今となっては、君と過ごした日々が、本当に現実としてあったのか、わからなくなってきている。


との幸せな日々は、自分の夢か妄想なんじゃないかと疑ってしまう。


ウエディング写真は撮りたくないと言って、との思い出は、この指輪しか残っていない。


この指輪さえ、自分の妄想なのかも知れない。


内側に刻まれた結婚記念日とお互いのイニシャル…………


僕たちは、本当に結婚していたよな?



─

『しっかり記憶に焼き付けたから、今日の零くんの姿、忘れないよ。零くんの若かりし頃のかっこいい姿は、私が伝えてあげる。』

『ふっ。どちらにしても物証にならないじゃないか。まぁ……僕も、今日のの姿を忘れずにいるよ。』

─

二人で温泉に行った日に、そう言ってくれた。
僕といた君の姿だけは、写真に残せばよかった。


会いたい。

声を聞きたい。

抱きしめたい。

また、ふざけて笑い合いたい。

もう一度、君に…────





満開の桜のなか、

の墓に手を合わせた。



「まったく、何で僕一人で桜並木を散歩させるんだよ。

何がパートナーを見つけていいよ、だ。

思ってもいない癖に、

強がってカッコつけるなよ。」









「僕は……

結局、一人なんだな……」









ブーーー…、ブーーー…、ブーーー……


「なんだ、風見。
あぁ、わかった。すぐに向かう。」





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