第19章 強盗(1)
あの距離で、見事に前輪に命中。タイヤがパンクし、犯人の車は真っすぐに走行できなくなった。
あいつもあいつで恐ろしい奴だ。
もはや人間業じゃない。
しばらく走行すると車が停まり、犯人とが車から出てきた。
無駄な足掻きだが、人質を連れたまま、逃げ場のないこの橋の上を歩いて逃げきるつもりらしい。
近くに車を停め、犯人に近付いた。
のこめかみに銃口が突き付けられていて、犯人が「来るな」と叫んでいる。
拳銃はこの一丁のみのようだ。
こいつを撃つか。だが、が近過ぎる。外す気はしないが、もし少しでも動けば当たる。
の表情は、焦りも不安も恐怖も見えない。まるで、死ぬことを受け入れたような顔をしていた。
その顔に、無性に腹が立った。
──なんで、諦めるんだ!約束しただろ!!
「コナンくん。悪いがが近過ぎて拳銃は危険だ。頼めるか?」
『うん、任せて!』
人並み外れたあり得ない速度でサッカーボールが飛び、犯人の頭部に命中した。
……それは死ぬぞ?
犯人は、を巻き込みんで転倒し、覆いかぶさった。
くそっ!誰の上に!!!
その状況にも、また怒りが湧く。
だが、犯人が覆いかぶさっているおかげでは他の二人から人質に取られる心配がなくなった。
すぐに走り出し、残る二人を始末……
いや、制圧した。
に覆いかぶさっていた男は、引き剝がすついでに腹に一発入れておく。
「…っ!」
自分でも情けないほど切羽詰まった声が出た。
の顔は、ようやく柔らかくなり、安心したように泣きそうな顔になった。
すぐにの手の紐をほどくと、手が真っ赤に染まっていることに気付く。
「怪我をしたのか!?」と口に出したと同時に、撃たれた人を手当てしようとしたときの血だと思いだした。
イヤホンから 『安室さん、よかったね。』と聞こえ、
小さく「あぁ、君のおかげだ。ありがとう。」と伝えて通話を切った。