第19章 強盗(1)
犯人が逃走すれば、人質はもう用済みで解放されるはず。
誰もが“お金を盗ったなら早く逃走してくれ”と思ったはず。
そのとき、犯人が「一人連れて行く」と言い、全員に緊張が走った。
声を出さず、呼吸も最小限にして気配を消す人々。
「こいつにする」
そう言って、私は肩を掴まれた。
不思議と、何の感情もわかなかった。
合理的な判断だな、とさえ思った。
人質にするなら女を選ぶ。小説の中でもだいたいそう。
ここにいる女性の中では、私が一番弱そう。抵抗されても大したことがなさそうに見える。
犯人に連れて行かれながら、
撃たれて横たわった人の前を通る。
心の中で、助ける努力さえできずに独りぼっちにさせてしまったことを謝った。
零…………
あなたをおいて、私は死なない。
だから…………
早く助けて!!メッセージ見てよ!!
いつもふざけてるけど、あれはふざけてないからね!!?
お願いだから大急ぎで頼みますっ!!!