第19章 強盗(1)
入籍して数日経ち、もともと同棲していたのもあって、普段とかわりなく過ごしていた。
結婚後も零は前と変わらず気遣ってくれる。
俺様な性格だけど、俺様な夫ではなくて一安心。
そして私は今日、免許証や銀行口座の名字を"降谷"に変更する手続きにまわっている。
朝一で区役所でマイナンバーカードの手続きをし、名字変更された住民票を取得、警察署で免許の手続きをして、銀行へ来た。
【降谷】、とんでもないパワーワードで、氏名を記入するたびに恐れおののいている。
"すごいな、私のこと降谷さまって呼んだよこの人…!いいんですか?私が降谷でいいんですか!?”
という気持ちで頭の中はお祭り騒ぎ。
名字を変える手続きはたしかに大変だけど、なんて楽しいイベント…!もっと降谷って呼ばれたい!!
銀行の待ち時間、その高いテンションのまま零にメッセージを送った。
『名字の変更、あとは銀行で終わり!いろんな人から"降谷"って呼ばれる最高のボーナスイベントだった♡』
─ 送信
既読はすぐについた。
『手間かけさせたな。僕の奥さんになったって実感した?』
はっ!? 僕の奧さん…っ!?
すごいやばい単語使ってきた…!!
テンションがさらに上がって今ここで悶えそう。にやけ顔を抑えられない…!
『わーーーー!今っ!外だから!!!』
─ 送信
ん?なんかこの書き方だとまるで零が変なこと送ってきたみたいになっちゃったな。まぁ…いっか。
そこで急に銀行内で大きな声が聞こえて爆発音がした。
周囲もざわつき、キャアァァ!と悲鳴が聞こえる。
目出し帽の人が数名。
タタタッと手早く零に『強盗』とメッセージを送った。
おかしいぞ…私の強運、どこ行った?