第3章 セクハラで訴えるぞ!
買い物も終わったし田中さんが帰ってくるまで自由時間だとワクワクしているのは私である。
今日は田中さん夜まで帰ってこない、夜ご飯も要らないなんて聞いていたからラッキーだ。なんて思いながら私は自分が住むマンションの部屋へと向かった。そしてドアに鍵を差し込んで眉間に皺を寄せる。
「あの男……また間違えてやがる!!」
玄関を開けて鍵を閉めてから靴を脱ぎ捨てると私は急いで寝室へと向かう。そして予想通りベッドの上には丸くなって寝ている田中さんの姿。
「田中さん!なんで私の部屋にいるんですか!貴方の家は隣でしょう!!」
ちなみになのだが、私と田中さんの部屋は隣同士。何故かって?田中さんが『いちいち家から俺の家来るの面倒だし起こす時間遅くなるから隣に住め』と言ったからである。一理あると思って田中さんの隣の部屋に住んだのだが、この人たまに疲れすぎたり寝ぼけていると間違えて私の部屋に来て寝室で寝てるのだ。
まずなんで私の部屋の鍵を田中さんが持ってるかって?田中さんに奪われたのだ。『何かあった時にお互い部屋の鍵持っとくべきじゃね?』とか言って。
「田中さん!!」
樹「うるせぇなぁ……」
「うるせぇじゃないですか!!貴方、部屋間違ってますからね!?昼寝しようとしたのに邪魔です!というか今日夜で帰らないんじゃなかったんですか!?」
樹「予定変わって昼前に帰ってきたんだよ。で、飯食いたいのに飯ねぇしお前いねぇからこっち来たから眠くなったから寝てた……」
「自分の部屋で寝ろ!!私だって寝たいのに!!」
樹「うるせぇな……一緒に寝りゃ問題ねぇだろ?」
寝ぼけているのか訳分からない事を言った田中さんは布団から腕を伸ばすと私の腕を掴んで引っ張ってきた。驚いた瞬間既に私は何故か田中さんの腕の中に抱き締められてベッドに横たわっていた。
「は?」
樹「お前、細いから抱き心地悪……」
完全に寝ぼけている。だって少し田中さん舌っ足らずだし、まず私を引っ張って抱き締めてくるとかおかしい。そして最後の言葉にイラッと来た。
「セクハラだ!!!!」
恐らく私は抱きしめられた事にパニクっていたのだろう。じゃなきゃ雇い主でありアイドルである田中さんの顔を叫びながら平手打ちすることはまずないから。