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緋色の誓い

第7章 新たな道標




翌日の昼。

神谷道場には、穏やかな陽射しが差し込んでいた。

ガラッ。

道場の戸が開く。

「斗亜ー!」

竹刀を肩に担いだ弥彦が、いつもの調子で入ってきた。

「時間あるか?」

斗亜は縁側からゆっくり振り返る。

右手には新しく巻き直したサラシ。

昨夜より血は止まっている。

だが、傷はまだ熱を持っていた。

「どうした?」

「打ち込み付き合えよ」

弥彦が笑う。

「今日は剣心も薫もいねぇしさ」

斗亜は一瞬だけ視線を落とした。

掌が疼く。

体も重い。

「いいぞ」

短く答え、立ち上がる。

道場の中央へ歩く。

剣心は買い出しへ出ている。

薫も一緒だ。

左之助は縁側で昼寝をしているらしく、静かな寝息だけが聞こえていた。

今、この道場にいるのは二人だけ。

弥彦が竹刀を構える。

「手加減すんなよ」

斗亜も静かに構えた。

「するか」

弥彦が踏み込む。

鋭い。

だが、まだ見える。

斗亜は竹刀を合わせる。

パシッ。

軽く受け流す。

返す。

弾く。

体は動いている。

問題ない。

そう思った。

「ほら、もっと来い」

斗亜が静かに促す。

「言われなくても!」

弥彦がもう一度飛び込む。

今度は一歩深い。

受ける。

返す。

ほんの僅かに、遅れた。

「……」

違う。

今のは違う。

気のせいだ。

そう思い込み、構え直す。

弥彦は続けて攻め込んできた。

面。

胴。

払い。

間髪入れず打ち込んでくる。

斗亜も応じる。

受ける。

返す。

捌く。

だが、一拍遅い。

その僅かな遅れを、

弥彦は見逃さなかった。

トン。

竹刀の先が斗亜の胴へ軽く触れる。

すぐに止められた。

二人とも動きを止める。

弥彦が目を丸くした。

「い、今…」

「もう一回だ」

斗亜が遮る。

その声に余裕はなかった。

再び構える。

今度は自分から攻める。

踏み込む。

速く。

もっと速く。

体に命じる。

だが、足が思うように前へ出ない。
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